三時の時間はおやつの時間。お菓子もいいけど手作りもね…といえば易いが、
手作り菓子は手間も暇も…という方に用意されたのが
今回のお題。



昭和デザートの素の噺



うだうだ子ちゃん。昭和も中盤を過ぎ、高度経済成長期に入ると
キッチンにも少しは余裕が出てきたのか、
手作りスイーツの市場が開拓され始めます。
当時まだ馴染みのなかったデザートなるお菓子を家庭でも
手軽に、簡単に、手間隙かけずに作れるように…
そんなメーカーの苦労が伺えるデザートミックス(手作りデザートの素)
現行品・廃盤商品含めた12品を紹介。










ホットケーキミックス(森永)


1957(昭和32)年発売開始の超ロングセラー商品。
発売当時の商品名は「森永ホットケーキの素」で、
値段は450gで180円。
当時的には結構高額な商品
(現在の貨幣価値換算だと2000円くらい)で、
チューブ入りのメープルシロップが添付されていました。
ただ、あまりに高額だったことを憂慮してか、
2年後の1959(昭和34)年には商品名を
「森永ホットケーキミックス」に変更し、
価格も100円に大幅値下げ。
容量は同じでチューブ入りのメープルシロップを削除。
これが結果的に大ヒット。一気に家庭に浸透しました。
その後、1963(昭和38)年には粉末のシロップを付ける様になり、
(お湯で溶かせ、という指示あったっけ)
その後1987(昭和62)年には液体シロップになり、と、
今尚進化を続けています。パッケージの何枚にも重ねた、
上から溶けたバターとシロップのしたたるホットケーキ、
憧れた子供も多かったハズ。家のフライパンで焼くと
平たいお好み焼きみたいになって、どうやっても
上手くいかなかった経験は皆さんにもあるのでは?





渡辺のジュースの素(渡辺製菓)


1958(昭和33)年に渡辺製菓が発売した粉末飲料。
ジュースの素といいつつも、
厳密にはジュースではなく粉末清涼飲料。
当時砂糖に比べて安価だったチクロなどの人工甘味料を用いており、
安価で程よい甘さ
(チクロを味わった人曰く、
舌に刺さるようなドライな甘さだったという)

好評を博し、榎本健一のCMも大ヒットして
瞬く間に世間に広まりました。
しかし1969(昭和44)年に、
人工甘味料の人体への悪影響が提言されると、
多くの粉末飲料メーカーがチクロ使用禁止を機に撤退。
通常の砂糖を使って粉末飲料を続けるところもありましたが、
コストが高くて採算が取れず、
またチクロのようにサッと水に溶けない砂糖では
粉末飲料に合わない側面もあって、
粉末飲料市場は急速に縮小。
また1970年代になると本格的な果汁100%のジュースが
流通し始めた事も重なり、
渡辺製菓も1973年にカネボウと合併しブランド消滅。
粉末飲料は表舞台から姿を消す事となりました。
現在も粉末飲料は駄菓子屋の片隅でひっそりと売られています。
無論チクロは使用されていませんが。






プリンミクス(ハウス食品)




1964年(昭和39)年に発売されたデザートミックス。
粉乳入りの粉末ベースをお湯で溶かして
型に入れて冷やせば簡単にプリンが
出来るという手軽さがウケて、家庭デザートの
定番になりました。備え付けのカラメルシロップも
粉末状で、こちらもお湯で溶いて使います。
粉末状態を舐めても美味しいので、
作る前からペロペロ舐めてた
子供も多かったのでは?













プリンエル(ハウス食品)


こちらはプリンミクスの姉妹品。
牛乳を使用して作るタイプのもので、
よりクリーミーさと高級感が味わえます。
女の子は「プリンエルのほうが本格的な
味になるから」と、プリンミクスより
プリンエルを選んでたような記憶があります。


















ゼリエース(ハウス食品)

ハウス食品が1968(昭和43)年に新商品として
発売したデザートミックス。70℃の湯で溶かした素を
冷蔵庫で冷やしてゼリーにします。
金属型から抜かれてプルルンと揺れる
緑のゼリーのCM映像はインパクトあったなぁ。
現在はイチゴ味とメロン味のみですが、
かつてはオレンジ味・ブルーベリー味・
グレープフルーツ味なんてのもありました。
またゼリエース姉妹品として「ハウス コーヒーゼリー」
という同様の商品もあります。
















シャービック(ハウス食品)

ゼリエースと同時にハウス食品が
1968(昭和43)年に発売したデザートミックスで、
当初はイチゴ・メロン・オレンジの
3つのフレーバーで発売されました。
♪シャッシャッシャービックシャービック 
シャッシャッシャービック シャッシャー♪

というCMソングを覚えてる人も多いのでは?
水や牛乳に溶かした粉末を型に流し込んで
冷凍庫で固めると、美味しい氷菓が
出来上がるというもので、手軽さが受けて大ヒット。
今尚ロングセラーとして人気を博しています。
現在はオレンジは終売し、イチゴとメロンのみですが、
一時期カフェオレ味や抹茶ミルク味なんてのも
短期間ですが出てました。












カップしるこ(カネボウ食品)


もともとは渡辺製菓が昭和30年代に販売していた
渡辺のおしるこの素がベース。
1973年に渡辺製菓がカネボウ食品と
合併して以降はカネボウが商品を引継ぎ、
手軽に調理して食べられるようにと、カップタイプに改良。
水前寺清子をCMに起用しヒットさせました。
その後カネボウ食品はベルフーズ(1982年〜1993年)
カネボウフーズ(1993年〜2007年5月)となり、
2007年にクラシエフーズと社名変更。
現在は後継商品「カップおしるこ」が販売されています。













ババロア(森永)


正確な販売時期は不明ですが昭和40年代かと思われます。
缶入りのデザートミックスで、牛乳とかき混ぜて、
冷やして固めて作ります。
当時TVCMもやっていて、
♪グルグル グルグル かき混ぜて カップにいっぱい 入れましょう〜
森〜永〜 ババ〜ロア〜♪

というCMソングも流されていました。
当時ホームメイドデザートといえばホットケーキ・ゼリー・プリンと
いったところがメインだった時代に
「ババロア」という謎の新人の乱入は
相当インパクトがあったように思います。
以降のムースベースやフルーチェに繋がる新たなデザートベースの
礎を作った商品と言えるでしょう。
昭和50年代頭には終売していたように思います。









ムースベース(カルピス)


1974(昭和49)年にカルピスから発売されたデザートミックス。
180mlの缶に入ったペーストをボールにあけて
泡立て器でかき混ぜ、
そこに牛乳とあわせてさらにかき混ぜ、
冷蔵庫で冷やして固まったら出来上がり。
現行品のフルーチェと比較してもふんわりした仕上がりになっていて、
まさしくムースと言うに相応し仕上がり。
上にホイップクリームをトッピングすれば
もう子供の夢の出来上がりです。
表面にポツポツと気泡の穴が空いていて、
凄く柔らかいエアインチョコみたいな感触が印象的。
味はパイン・コーヒー・オレンジ・チョコレートの4つがあり、
ウチでは姉の趣向でチョコが主流でした。
当時カルピス劇場(ハイジとかフランダースの犬とかの枠)
このムースベースがCMで流れてて、
これを機に買った子供も多かったと思います。
今はもうありませんが懐かしい昭和のデザートミックスのひとつです。







フルーチェ(ハウス食品)

1976(昭和51年)年に発売されたデザートミックス。
牛乳と混ぜるだけで簡単に、
しかも素早く作れる手軽さがウケて
大ヒットしました。
ゲル状ベースに果肉と果汁が入っていて、
プルプルとした独特の食感はヨーグルトと
プリンの中間のような感じで、
イチゴ・ピーチを初め様々なフルーツの
バリエーションが発売されました。
今尚女子に絶大な人気を誇る
ホームメイドデザートミックスの定番です。












クールン(日清)

1979(昭和54)年に発売された
画期的なデザートミックス。
「家庭でもチーズケーキが作れます」
いうフレコミは当時かなり斬新に映った
もので、しかも一切火を使わないというから、
どうやって作るんだ?と不思議に思ったのを
覚えています。
クールンの中身は粉末状のビスケットと
粉末チーズの二袋、それと銀紙の皿。
(現行品に銀紙皿はついていません。)
作り方はちょっと特殊で、
粉末ビスケットに牛乳を少し加えて粘土状にして、
銀紙の皿にペタペタ貼り付けて
土手的な下地をつくり、そこに粉末チーズを牛乳で溶いた
ものを流し込み、冷蔵庫で冷やして固めて
出来上がり、というモノ。
チーズケーキというよりレアチーズケーキ、
もしくはレアチーズパイといった感じのもので、
それまでにない独自のデザートミックスとして
評判を呼びました。標準のプレーン
(現在はレアチーズと改名)のほか、
ストロベリー味も出ています。





シャーベ(大塚食品)

1983(昭和58)年に発売された
シャーベット風の清涼飲料水を
作るためのベースで、簡単に言えば
フローズンシェイクの素。
冷凍庫で凍らせて出来た
シャーベットに牛乳をあとがけして
溶かし、かき混ぜて飲むというのが基本。
いちご・メロン・チョコレートが
基本味で、マンゴーやバニラも
ラインナップに上がっていました。
現行商品と思っていたのですが
最近大塚食品のHPから販売情報が
削除されていたので、残念ながら
販売終了した模様です。










今の御時世だとスイーツはネット通販か有名店で購入するのが普通になってるんですかね?
自宅でスイーツ作るのも、結構本格的な材料そろえて作る人も増えてきたし。
まあ、こういうデザートミックスって、初めてスイーツ作る子供たちにとっての
入門書的な意味合いもありますよね。にしても結構終売してる商品もありますね。
個人的にはカルピスムースベースがもう一度食べたい。ではまた。



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