看板


昨今関西に観光客が押し寄せているようですね。国内外を問わず。
という訳で今回はこちらの御題。



関西菓子の噺



うだうだ子ちゃん。関西に来た人が関西のお菓子を土産に買って帰るのは
もはや日常の光景になっていますが、
その菓子は本当に関西の名物菓子?
観光客だけが買ってるだけで
関西在住の人は見たことも食べた事も無いシロモノなんじゃ?
なんて事がままあります。

そう考えると、関西の人が長年食べ、
長年愛し続けた菓子こそ、
本当の意味での関西の菓子なのでは?
という事で、今回いろいろチョイス。

関西製造で、基本流通圏内関西中心で、
ある一定の期間愛され販売を今尚続けている
という条件に当てはめて選択した菓子を
これから紹介していきます。いずれもお値段はお手ごろ価格。
全部買っても2000円いかないのでは?
それでは御覧下さい。



ぼんち揚(ぼんち)ぼんち揚


関西を代表する揚せんべい菓子で、昭和35年に株式会社中央軒が発売。
以来、半世紀以上に渡って愛され続けてる超ロングセラー。
「ぼんち」とは船場言葉で
「金持ち商家のぼんぼん」を意味するもので、
山崎豊子の小説の題にも使われている事から
「大阪らしい名前」として起用されました
(発売当初は「揚小丸」という名称で販売
していましたが、三年後に「ぼんち揚」に変更)

その後、中央軒の主力製品に成長し、会社名もこれを
機に昭和44年に「ぼんちあられ株式会社」に変更。
(昭和59年に「ぼんち株式会社」に改名。現在に至る)
TVCMも積極的に行っており、西川きよし&横山やすし、
明石家さんま、フットボールアワーらが
CMを勤めました。特に明石家さんまのCMは長期にわたって
制作され続けていて、今尚
「ぼんち揚=明石家さんま」という印象の人は
多いのではないでしょうか?





満月ポン(松岡製菓)満月ポン

大阪を代表するポンせんべい菓子で、
昭和33年に清水製菓から発売。ポンせんは元々
神奈川県の工業大学の学生が考案した製法を
教えてもらったものらしく、小麦粉を生地とした種を
ポン菓子のように熱と圧力で膨らませて
製造するもの。味付けは六種類もの醤油をオリジナルブレンドした
特製たれで、独特の香ばしさと濃厚な味わいを
醸し出しています。
昭和57年に清水製菓から引き継ぐ形で
現在の松岡製菓が創立され、現在も製造販売を続けています。
関西圏内のスーパーではほぼ置いてあると
言っていい定番中の定番商品で、100均にも
量を減らしたミニサイズのものが置いてあります。
また、ネット販売用として「濃い味」なるものもありますので、
興味のある方は是非。




前田のクラッカー(前田製菓)あたり前田のクラッカー



いまだに「あたり前田のクラッカー」という言葉が生き続けていると
いう事実に驚くのですが、
すでに公用語になってしまってる感もある「前田のクラッカー」。
元々前田製菓は大正7年に「前田西洋菓子製造所」と
して製造を開始。大正15年には既にビスケットの製造販売を
始めていました。戦時中の軍用のドロップや乾パンの製造を経て、
戦後再び菓子製造を再開。同社の看板商品たる
クラッカー(ランチクラッカー・バタークラッカー)は昭和30年に
発売されました。
その後昭和37年放送の「てなもんや三度笠(朝日放送)」
でCMが流された事により知名度は一気に全国区に。
その後の浸透度は言うに及ばず。
もはや日本のクラッカーの代名詞たる存在です。
日本中の量販店や100均などでも入手可能なので、
関西の菓子というより日本の菓子と言ってもイイかもしれません。





前田のクリケット(前田製菓)クリケット


販売開始時期は不明ですが、相当昔からある商品のようです。
小さなベーゴマ大のビスケット(というかサブレ?)で、
ボーロのようなやさしい味わいと
ほんのりした甘みが特徴。あまりまとめて食べるとクラッカー同様、
口の中の水分を根こそぎ吸い取られて
しまうので、慌てずゆっくり食べましょう。
このスタンダート袋のほか、ミニサイズ五連パックの
ものも発売されています。
旅のおともには丁度いいかも。









前田ののりセサミ(前田製菓)セサミ


昭和55年に発売開始された商品。
かつては「セサミハイチ」という名前で発売されていました。
澱粉ベースのスナック菓子で、クラッカーよりしっかり硬い
バリバリな感じがたまりません。
ナッツやお酒とよく合うので、酒のつまみとして重宝されています。
セサミハイチはごま風味が印象的で、
香ばしさが魅力的でした。現在は「のりセサミ」に商品変更。
青のり風味が加味され、磯の香り豊かな味わいになっています。









横綱あられ(天狗製菓)横綱あられ


京都市にある天狗製菓が創業当時の
昭和27年から製造販売している同社の看板商品。
綱あられ、と呼ばれる麻縄を模した
独特の形状のあられで、他社でも多くの類似品を見ますが、
元祖と銘打っているように本家はこちらのようです。
そのゴツゴツとした無骨だけど食べ応えのある形状、
油揚げですがサラリと仕上げたドレッシング風味の
味付けは、今尚多くの関西人に愛され続けています。
最近では黒こしょうを全体にまぶした
辛口仕様の商品も発売され、好評を博しています。







鶯ボール(植垣米菓)鶯ボール


昭和5年から発売され続けている超ロングセラー商品で、
発売当初は戦前という事もあって
「爆弾ボール」「肉弾ボール」
猛々しいネーミングがなされていました。
戦後、商品名称変更の際に
「梅の花に形が似ている」という事から
「梅には鶯」という連想によって「鶯ボール」となり、
現在に至っています。
もち米に小麦粉を着けた種を油で揚げて作るカリントウ風の油菓子で、
白い部位は揚げ餅、両サイドの焦げ茶色部位は小麦で、
あの球状形態は「揚げた際に自然にあの形になる」との事です。
現在はミニ鶯ボール、きなこ鶯ボール、
抹茶鶯ボールと、バリエーションも増えています。





わさび鉄火(植垣米菓)わさび鉄火


関西土産菓子で他地方の人に持っていくと、
必ずその味にビックリされる事請け合いの商品。
普通のおかきと思って口に入れると、
強烈無比なるわさびのツーンとした辛味と匂いが鼻をつんざきます。
そのわさび刺激は思わず
「ドッキリ商品?」と疑いたくなるほど強烈です。
わさびの分量を間違えたのか?と言いたくなるくらいに。
その強烈さゆえにTV番組で度々紹介され、
その度に試食者の驚愕の表情が映し出されていました。
関西では売っている所とそうでない所に
結構はっきり分かれている感じですね。
東京では上野アメ横の二木の菓子で購入可能です。






西村エイセイボーロ(西村衛生ボーロ本舗)エイセイボーロ


関西在住の人には舞妓はんがじゃれあうTVCMでおなじみのお菓子。
あのCM自体は昭和45年から20年以上放送され続けていました。
で、肝心の商品はというと、20年どころではなく、
明治26年にエイセイボーロ専門店として創業販売を始めて以降、
一世紀以上経た現在に至るも販売され続けている
超ロングセラー商品です。ボーロ自体は江戸時代から作られていた
小麦粉、砂糖、卵、牛乳を材料とした南蛮焼菓子のことで、
たまごボーロ・そばボーロ・松葉ボーロなど
種類は多岐に渡ります。衛生ボーロの名称は明治時代、
特に品質の高いもの&安全なものに
「衛生」と名称を付ける事が流行ってたこともあって、
「赤ちゃんが離乳食としても食べられるほど、品質の高い安全な菓子」
という意味でつけられたもの、と言われています。
現在でも赤ちゃんの離乳食として用いられており、
そのやさしい味わいは今も変わりません。




大型チョコサンドビスケット(前田製菓)
(現在の商品名は「リサーチ・チョコレートサンドビスケット」)リサーチチョコサンドビスケット


正確な販売開始時期は不明ですが、
おそらく昭和42年頃。当時前田製菓はたっぷり食べられて
お得な大型菓子を数種製造していて、
本商品のほか「大型シュガークラッカー」「大型ココナッツサブレ」
なども販売。TVで数多くのCMを流していました。
本商品はそんな大型菓子シリーズの
真打ちとも言える商品で、二枚の薄焼きビスケットの
間にミルクチョコレートを挟むという、子供感涙の夢の菓子。
大きさが直径11センチとCD並みのサイズなので、
一枚食べればお腹満足。
歯ざわりのいいビスケットと味わい深いミルクチョコとの
相性が抜群で、隠れファンの多い逸品です。
販売数が極端に少ないのか、関西でも店頭で見つけることは
殆どありません。ネットでは購入可能ですが、
入手難易度では今回紹介した菓子の中では間違いなくトップクラス。
見つけたら是非買っておきましょう。
2019.1.7補足
その後の調査で、和菓子チェーン店「もち吉」にて、「ビスチョコ畑」という名称で
販売されている事が解りました(中身は同じ)。季節限定商品なのでお早めに。





ハイエイトチョコ&わなげチョコ(フルタ)ハイエイト


フルタ製菓が昭和42年に発売したチョコレート。
眼鏡型のブリスター容器にマーブルコート
されたチョコレートが
錠剤の如く配置されており、食べ終わった後の
容器は眼鏡の玩具として使う事も出来るように、
両端に紐を通す穴も開いています。チョコは14個。
食べ終わった後の容器で遊べる」という
コンセプトは翌昭和43年発売の「わなげチョコ」でも継承。
こちらはチョコは26個入っており、
チョコをもっと食べたいならコッチかも。
両方とも発売50年を経過し
今尚愛され続けている超ロングセラー商品です。







わなげ


















モロッコヨーグル(サンヨー製菓)ヨーグル

独特の存在感を今尚放つ駄菓子界の裏番長的存在。
製造販売は大阪市西成区にあるサンヨー製菓で、
もとはチョコレートを販売していたものの、
夏季は溶けて売れないため、年中通して売れる商品をと
いう懸念をもとに考案されたもの。
ヨーグルというネーミングなのでヨーグルト?と思いがちですが、
乳製品は一切原材料に使用されておらず、
グラニュー糖とショートニングを混ぜ合わせて香料で風味を足した
ものなので、材料の大半は植物性油脂。
パッケージに象が描かれているのは、ヨーグルの容器が
象の足に似てるから、という理由からだそうです。
昭和36年に一個5円で販売開始し、瞬く間に子供たちの
間で人気を博しました。以降社会事情や物価上昇に合わせて
値段は一個20円となりましたが、今尚変わらぬ風味と
味わいで販売され続けています。
ただ、TVの取材で「後継者に継がせず
ウチの世代でこの菓子は終わり」と会社社長が発言してるのを見て、
いずれ無くなってしまうのかと思うと寂しさを禁じえません。




ココアシガレット(オリオン製菓)ココアシガレット



大阪市淀川区にあるオリオン製菓が昭和26年から発売している
超ロングセラー商品。箱のパッケージは
当時の人気タバコ「ピース」の意匠を模して作られています。
材料はココアとハッカと砂糖で、
かつては砂糖とハッカを練った白い外側と、ココアを練った茶色い内側に
二層化されていましたが、現在では全部均一に混ぜられ成型。
タバコというよりチョークみたいな形状になっています。
煙草を吸う事が大人の嗜みで、カッコイイとされていた昭和にあって、
子供の背伸び意識を満喫させる菓子でもあり、
嫌煙意識の高い現在にあっても味は当時と変わらず
売られ続けています。最近ではオレンジやソーダ、ブルーベリーや
抹茶と、フレーバーの数も増えています。





関西のスーパーやお菓子ショップなどでこれらの大半は入手可能です。
関西に旅行に来られた方は、
「これが本当に関西の人が普段食べてる菓子なんだ」と
想いを馳せつつ購入し食してみては如何でしょうか。

何れも昔ながらの素朴で深い味わいの逸品揃い。
ロングセラーという事は長年にわたって
沢山の人に愛されたという証拠ですから。

次回は何しようかな。
なんかやります。
ではでは。



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